2023.05.16

老人ホームの費用や種類を知りたい。施設によって金額がバラバラな理由とは?

老人ホームの費用や種類を知りたい。施設によって金額がバラバラな理由とは?

老人ホームへの入居を検討し始めたときに気になるのが、費用の問題です。

費用には、月額利用料だけではなく、入居一時金が別途かかる場合があります。また、その金額は施設によってバラバラで、何をどう比べればよいのか迷ってしまいますね。

そこで本記事では、認知症の方が入れる主な4つの施設と、それぞれの費用の相場をご紹介します。

  • 【公的施設】特別養護老人ホーム(特養) 月額利用料8万~15万円
  • 【民間施設】介護付有料老人ホーム 月額利用料10万~50万円
  • 【民間施設】グループホーム 月額利用料12万~20万円
  • 【民間施設】サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 月額利用料10万~30万円

また、金額だけではわからない費用の内訳や内容、比較する際に忘れてはいけないポイントをお話しします。

» 見学時に役立つ!老人ホーム見学チェックリスト(PDF)

老人ホームの費用は?施設の種類と相場をチェック

4種類の老人ホームの費用やサービスをまとめた表

【公的施設】特別養護老人ホーム(特養)

原則として要介護3以上、65歳以上の方が対象の施設で、通称「特養(とくよう)」と呼ばれています。

介護度の高い方が優先して入ることができ、基本的に看取りも行っています。公的施設のため入居一時金がかからず、月額利用料が抑えられる傾向にあります。

ただし、最近増えている「ユニット型特養」は、従来の多床室タイプに比べプライベートが尊重される一方で、費用が高くなります。

特別養護老人ホーム(特養) 費用例

入居一時金 0円
月額利用料(居住費・食費・介護費用などを含む) 8万~15万円
(新型特養と呼ばれる「ユニット型」を除く)
介護サービス 生活援助・身体介護・認知症ケア・安否確認

※ 居住費=家賃+管理費(共益費)
※ 介護費用とは、介護保険料自己負担分を指します。(介護度によって異なる)
※ 特養では基本、介護保険料自己負担内での介護を行います。

【民間施設】介護付有料老人ホーム

基本的に要支援または要介護認定を受けた高齢者の方が対象の施設です。
対応は施設ごとに異なりますが、看取りを行うところが多くなっています。
食事内容やサービス内容が施設ごとに異なるため、費用にも幅があります。

介護付有料老人ホーム 費用例

入居一時金 0~数千万円
月額利用料(居住費・食費・介護費用・介護サービス費などを含む) 10万~50万円
介護サービス 生活援助・身体介護・認知症ケア・安否確認・機能訓練(リハビリ)

※ 居住費=家賃+管理費(共益費)
※ 介護費用とは、介護保険料自己負担分を指します。(介護度によって異なる)
※ 介護サービス費とは、介護保険外の介護サービス費を指します。

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【民間施設】グループホーム

認知症の方が少人数のグループで共同生活する施設で、認知症ケア専門の介護スタッフのサポートがあります。

地域密着型サービスのため、原則として、住んでいる市区町村のグループホームのみに入所可能という特徴があります。

費用に幅があるのは、食事内容やサービス内容が施設ごとに異なるためです。グループでの生活という形態をとっているため、介護付有料老人ホームと比べると、費用を抑えられる傾向にあります。

グループホーム 費用例

入居一時金 0~100万円
月額利用料(居住費・食費・介護費用・介護サービス費などを含む) 12万~20万円
介護サービス 生活援助・身体介護・認知症ケア・機能訓練(リハビリ)

※ 居住費=家賃+管理費(共益費)
※ 介護費用とは、介護保険料自己負担分を指します。(介護度によって異なる)
※ 介護サービス費とは、介護保険外の介護サービス費を指します。

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【民間施設】サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

高齢者向けのサービス付き賃貸住宅で、「サ高住(さこうじゅう)」と呼ばれています。

一般の賃貸住宅との違いは「バリアフリー」であること、安否確認や生活相談といったサービスがついている点です。
月額利用料に、食費や介護費用が含まれない点が、他の3つの施設との大きな違いです。

入居一時金 数十万円
月額利用料(賃料、管理費、光熱費、安否確認・生活サービス相談料含む) 10万~30万円
※食費や生活費は別途個人負担
介護サービス なし(受ける場合は外部サービスを利用)
介護以外のサービス 安否確認・生活相談

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老人ホームの費用に差があるのはなぜ?

老人ホームの施設内の写真

各老人ホームの費用の相場をご紹介しましたが、例えば介護付有料老人ホームの月額費用は10~50万円など幅が広いことがわかります。
同じ形態の施設でも、このように差がでるのはなぜなのでしょうか。

老人ホームの住環境、サービスの違いで差が出る

一般の住宅と同じで、老人ホームの立地環境や居住面積、設備により費用が異なります。

駅から遠いか近いか、個室にトイレがあるかないかなど、その金額には必ず理由があります。
また住環境に加え、特に介護付有料老人ホームの場合は食事やレクリエーションなど施設によって行われるサービスが異なることも、金額に差が出る理由です。

例えば、食事の品数に差があったり、和食か洋食かを選べたりという違いによっても金額が変わります。また、レクリエーションは施設内の職員が行うだけでなく、外部講師が来たりプロによる演奏会が開かれたりすることもあり、別途費用がかかる場合もあります。

介護費用に含まれる内容が異なる

この記事では「介護費用(介護保険料自己負担分)」と「介護サービス費用(介護保険以外の費用)」と表記していますが、実際は施設ごとに呼び方が異なります。

施設によっては、両方をまとめて「介護サービス費」と表記していることもあります。金額だけでなく、その中にどういった介護サービスが含まれているかを確認することが大切です。

食事やレクリエーションだけでなく、介護サービスの内容が充実しているところは、月額利用料が高くなります。

入居一時金は家賃の前払い

入居一時金が0~数千万円など大きな幅があることに驚かれた方も多いでしょう。

入居一時金は一般的に家賃の前払い金です。終身にわたって居住することを前提としており、家賃の一部を想定入居年数分、もしくは想定居住期間を超えた分まで、先に支払うという制度です。

そのため、一時金を支払えば月々の費用が抑えられ、一時金を0円とした場合は月額利用料が高くなります。家賃の一部を先に支払うため、償却期間が設けられています。その期間は施設により異なり、一般的には5~10年です。

例)家賃が30万円の施設の場合
入居一時金600万円(償却期間を5年と設定)→ 月額利用料金20万円
入居一時金0円 → 月額利用料金30万円
※ 償却期間前に退去すると未償却分が返還されます。

老人ホーム費用の比較は、内容と金額を細かくチェックすることが大切

老人ホームの費用を比較するイメージ画像

月額利用料に含まれない、実費負担にも注意

老人ホームの費用を比較する際は、「入居一時金」「月額利用料」以外にかかる、実費負担もチェックしましょう。

一般的には、理美容費・生活雑費・娯楽費などが、実費負担となります。実費負担の確認が不十分なために、請求書の金額に驚かれる方も少なくないので、注意が必要です。

月額利用料に含まれる内容に注意

これまでお話ししてきた月額利用料は、一般的な例となります。実際には、施設ごとに「月額利用料に何が含まれるか」は異なります。

例えば、居住費に水道光熱費が含まれるかどうか、介護費用や介護サービス費用にどんなサービスが含まれているのかなどは、入居を決める前にしっかりと確認することが重要です。

最後に

ご家族の老人ホームへの入居を初めて検討する場合は、さまざまな不安や疑問を感じることでしょう。
その中でも「費用の問題」は、金額だけで簡単に判断できるものではありません。
ご本人の希望や家庭の事情が深く絡み合い、何を基準に考えればよいか困りますよね。

今回お話ししたように、費用を比較する際は、金額だけでなく、その中身を確認することも大切です。費用例をご覧になると、介護付有料老人ホームは金額が高いイメージを持たれるかもしれませんが、その分、手厚いサービスを行っている施設が数多くあります。

そうはいっても、比較検討の早い段階で、多くの施設の費用とその中身を全て確認するのは、時間も労力もかかります。まずは、おおよその費用感で施設を選ぶことから始めてください。
ある程度施設を絞れたら、改めて費用を確認し、施設を決定していただければと思います。

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