認知症高齢者の親の施設入居タイミングを判断するのは、ご家族にとって大きな悩みです。しかし、適切な時期に最適な施設を選ぶことで、ご本人が安心して暮らせるだけでなく、ご家族の負担も軽減されます。
そこで今回は、入居を検討すべきタイミングをはじめ、認知症対応型施設の種類や特徴などについて詳しく解説します。事前に情報を集め、心の準備を整えることで、後悔のない選択ができるはずです。
施設への入所を検討するタイミングは?
施設への入所を検討するタイミングは、ご本人やご家族の状況によって異なりますが、主に以下のようなケースが考えられます。
- 徘徊や転倒、誤嚥のリスクが高まり、在宅ケアが難しくなったとき
- 在宅介護によるご家族の身体的・精神的負担が増えたとき
近年では、子供世帯と別居する単身高齢者や高齢夫婦の世帯が増えてきています。日常生活の継続が難しくなり、地域包括支援センターへの相談をきっかけに施設入居を決める方も多くなっています。
認知症の親(高齢者)を受け入れ可能な施設は?
認知症の高齢者が入れる認知症対応型施設は主に4つです。それぞれの施設の特徴や、メリットとデメリットを解説します。
認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の高齢者が家庭的な雰囲気の中で生活できる施設です。入居者が自分らしく過ごせるよう、個々の状態やペースに合わせて介護スタッフがサポートします。
主なメリット |
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主なデメリット |
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介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、基本的には要介護認定を受けた65歳以上の人を対象とした施設で、生活援助や身体介護、機能訓練などのサービスを提供しています。認知症の人も受け入れ可能な施設が多く、専門介護スタッフ(施設によっては看護スタッフ)が常駐し、入居者をサポートします。
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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、原則として要介護3以上・65歳以上の人が対象の公的施設で、食事・入浴・排泄などの日常生活全般のサポートが提供されます。24時間体制の介護スタッフが常駐していて、認知症の人にも対応可能です。
主なメリット |
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、自立可能な人を対象とした高齢者向けの民間賃貸住宅です。居室はバリアフリー対応で、安否確認や生活相談サービスを受けることができます。ただし、基本的には認知症の人は受け入れない施設も多いため、事前に入居条件を確認することが重要です。
主なメリット |
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主なデメリット |
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希望の施設に入れない場合の対応方法
「通い」と「宿泊」の短期利用を組み合わせながら、希望の施設への入居を待つこともできます。利用できる介護サービスには次のようなものがあります。
・介護老人保健施設(老健)
高齢者がリハビリや介護を受けながら、自立した生活に戻ることを目指すための施設。医療と介護の中間的な役割を果たす施設として短期間の利用が基本となります。
・通所介護(デイサービス)
身体介助や生活支援を必要とされる人が、自宅で生活しながら日帰りで近くの施設に通い、入浴・排泄・食事などの介助や機能訓練などが受けられます。
・ショートステイ
短期的に宿泊が可能な介護サービス。食事や入浴などの生活支援、機能訓練が受けられます。
・小規模多機能居宅介護
通い・泊まり・訪問がセットとなった介護サービス。生活支援、機能訓練が同じ施設内で受けられます。
認知症の兆候から考える施設入所のタイミング
認知症グループホームなどの認知症対応型施設への入居を検討するきっかけには、どのような兆候や生活状況があるのでしょうか?グループホーム運営や介護サービスを提供するソラストのスタッフが経験した代表的な事例をご紹介します。
同居ご家族の生活に影響が現れ始めたとき
ご家族の仕事や生活に支障が出始めた際には、施設入居を検討するケースがあります。認知症高齢者ご本人と同居している場合、夜間の徘徊が増えた結果、介護者であるご家族の生活リズムも崩れてしまい、デイサービスだけでは対応が難しくなります。
排泄の失敗が増えてきたとき
排泄の失敗が増えてきた際、施設入居を検討するケースもあります。自分の親が排泄の失敗を繰り返すと、子供として「見たくない」「認めたくない」と感じ、感情的になってしまい大声をあげる場面が増えることもあります。
そのような状況はお互いにとって決して良いものではありません。そのため、施設入居を検討するタイミングの一つとなります。
ケガや病気をしたときや体調に異変が見られたとき
ご本人がケガを負ったり病気をしたり、体調が悪化した際には、施設入居を検討するきっかけとなります。高齢になると体力やバランス感覚が低下するため、屋内でも屋外でも転倒リスクが高まります。骨折や打撲、頭部外傷といった深刻なケガを負うこともあります。
また、一人暮らしの高齢者の場合、食事が偏ったり不規則になったりすることで栄養失調や免疫力の低下を招き、感染症を発症したり、慢性疾患が悪化するリスクがあります。
認知症の親(高齢者)の施設入所を検討する際のチェックポイント
ここでは、認知症グループホームなどの認知症対応型施設への入居を検討する際のチェックポイントを解説します。検討の第一歩は、気になる点を解決しておくことです。入居後に「こんなはずではなかった…」と後悔しないように、事前に準備をしておきましょう。
入居にかかる初期費用や毎月の利用料
認知症グループホームなどへの入居にかかる費用は、施設の種類やグレード、立地などによって異なります。例えば、グループホームに入居するには、初期費用(前払金)と月々の利用料(家賃、食費、介護費など)がかかります。これ以外にも、医療費や生活必需品の費用、介護保険の自己負担分が追加で発生します。
施設を紹介しているWebサイトにすべての情報が掲載されているわけではないことを認識した上で、事前に契約内容(解約条件や返金ポリシー)を必ず確認し、不明点があれば必ず施設運営元に確認することが大切です。
入居施設の立地
認知症グループホームなどの入居施設がどのような立地にあるのかも大切で、「ご家族が訪問しやすい距離にあること」はポイントの一つです。できれば、ご本人やご家族の自宅に近い施設を選ぶのがおすすめです。また、周辺事情に詳しい、入居前に受診していた病院が近い、知り合いが多いといった条件がそろっている施設を選ぶのが望ましいでしょう。
施設での暮らしに慣れるまで不安を感じる方も多く、ご家族ができるだけ顔を見せることで精神的な安定につながる傾向があります。公共交通機関や車でのアクセスが良い場所を選べば、緊急事態にも駆けつけやすくなります。
周辺に商業施設があったり、自然が豊かで静かな環境だったりする場合は、ご自宅に似た環境を選ぶことで、ご本人が落ち着きを感じやすくなることがあります。
入居施設の介護スタッフや看護体制
認知症グループホームの利用者や介護スタッフの人員配置は、厚生労働省の基準で次のように定められていています。
- 定員:1ユニット(共同生活住居単位)あたり5人以上9人
- 介護スタッフ:日中は利用者3人につき1人以上、夜間はユニットごとに1人以上
介護スタッフは24時間体制で常駐します。また、多くのグループホームでは医師や看護師は常駐せず、協力医療機関との連携をとっています。こうした国の基準も踏まえ、入居を検討する施設がどのような人員体制をとっているのかを事前に確認しておきましょう。
入居後の生活環境
認知症グループホームの場合、各居室が入居者にとっての「家」となります。共同生活とは言え、常に入居者全員が同じ生活スケジュールを強要されるわけではありません。食事や就寝時間、趣味、散歩などは一人一人の生活リズムに合わせて調整されます。
また、自立支援サポートの一環として、入居者がスタッフと一緒に簡単な食事の準備や片付けを手伝うなどの役割を担う機会があります。体操や園芸、音楽などのアクティビティや季節を感じられるイベントを開催する施設も多くあります。
認知症グループホームだけでなく、介護付き有料老人ホームの場合にも、それぞれの施設で入居者に合わせたプログラムを提供されるのが一般的です。
施設ごとの特徴と、ご本人やご家族のこだわり
豪華な設備や魅力的なプログラムが用意されている施設であっても、すべての人にとって居心地の良い「家」になるとは限りません。
実際に施設に見学に行き、施設長と話をしたり、入居者の様子を見たりすることも大切です。見学をしてみると、雰囲気を直接肌で感じることができ、その施設の特徴が自然と伝わってくることもあります。また、入居するご本人やご家族にとって大切な点やこだわりも考えておくと、施設見学の際に重要なポイントを的確に確認できます。
どうやって探す?認知症対応型施設の探し方と情報収集方法
認知症グループホームをはじめとする認知症対応型施設を探すとき、どのような方法で情報収集するのがおすすめなのでしょうか?ここでは主な方法をご紹介します。
高齢者向け施設紹介Webサイトで問い合わせる
インターネット上の施設紹介Webサイトを経由して、情報収集を行う方法があります。Webサイトには基本情報しか掲載されていないため、問い合わせをして、パンフレットを取り寄せたり施設見学を申し込んだり、疑問点を直接担当者に確認するのがおすすめです。
友人、知人など経験者の体験を聞く
ご友人や知人から、実際の体験にもとづく情報を得るのも有効です。グループホームなどの認知症対応型施設を利用した経験がある方に相談すれば、施設のメリットだけでなくデメリットについても具体的に知ることができるでしょう。
地域包括支援センター、ケアマネジャー、民生委員に相談する
地域包括支援センターやケアマネージャー、民生委員に相談する方法もあります。これらの専門機関や担当者は、地域の介護施設に関する知識が豊富で、入居に向けた情報提供やサポートも行ってくれます。一人暮らしの方や相談相手が少ないご家族の場合には、こうした専門家の意見は心強いでしょう。
施設見学で直接確認する
近隣に希望する施設がある場合には、直接施設を訪ねて相談するのも一つの方法です。事前に連絡を入れておけば、担当者が対応してくれることが多く、施設の雰囲気やスタッフの対応を実際に確認できます。パンフレットやWebサイトだけでは得られない暮らしの様子や設備の実際の状態を把握する機会にもなります。
認知症グループホームへの入所までの流れをステップ別に解説
家族や親しい人が認知症になってしまったときの居住先。ここではグループホームを例に、入居を希望するときは「どこ」へ行って「何」を相談すればいいのかなど、施設へ入居までの流れを説明します。
(1)入居希望のグループホームへ問い合わせ
医師が認知症と診断していないとグループホームへは入居できません。また、グループホームは地域密着型のサービスという位置付けのため、施設所在地と同じ地域に住民票がないと入居できません。
ソラストの場合、希望する地域のグループホームに空きが出るまでの間、隣接した有料老人ホームやショートステイ、小規模多機能型居宅介護などを利用していただくことが可能です。例えば、ショートステイは1泊2日から利用可能ですが、中にはグループホームの空きが出るまで利用される方もいらっしゃいます。
(2)入居希望施設の見学
グループホームは家庭的な雰囲気の中で、自宅で暮らすように生活する「家」です。入居者との相性もあるため、入居前にはいくつかのポイントを確認しておくことが大切です。
【主なチェックポイント】
- 施設の雰囲気やスタッフの対応
- 居室や共有スペースの清潔さ
- 食事の内容(可能であれば試食するのもおすすめ)
- 医療・介護体制(特に身体的な介護が必要な場合)
施設によっては体験入居が可能な場合もあります。ソラストでは、1週間程度の体験入居を利用いただけますのでまずはご相談ください。体験入居後は入居に至る方がほとんどです。
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(3)入居申し込み・面談
入居申込書など必要な書類を提出すると「仮申し込み」となります。グループホームの担当者と入居者、ご家族が面談して、入居者の心身の状況などの確認を行います。
(4)契約
契約内容や管理規定などに同意後、契約の手続きに進みます。契約にあたって関係書類として、入居者・保証人の身分証明書、入居者の健康診断書、認知症診断書、緊急連絡先、保証人情報などが必要です。確認不足によって後々トラブルにならないように、利用規約、入居に関する重要事項説明書の内容をしっかり確認してから、契約を締結することが重要です。
(5)入居
入居が正式に決まったら、入居時に必要な持ち物を用意して持ち込みます。持ち物は一般的に、衣類や寝具、靴、タオル、食器、その他の日用品です。入居時の持ち物や持ち込み禁止の持ち物は施設によって異なるため、事前に入居予定の施設へ確認して準備しておきましょう。
ソラストの認知症ケアと介護サービスの特徴
大切なご家族が認知症になった際、ご自宅での介護にも限界があり、早い段階で施設入居の検討を始める方も多いことでしょう。認知症ケアにも対応した施設であれば、ご本人が安心して暮らせるだけでなく、ご家族の負担も軽減されます。ここからは、安心して大切なご家族の入居をご検討いただける、ソラストのグループホームの特徴をご紹介します。
各グループホームに「認知症ケア指導員」を配置
認知症の方をお預かりするため、ソラストでは、社内で独自の指導者育成機関(認知症ケア指導員養成研修)を設置し、各グループホームに「認知症ケア指導員」を配置しています。認知症介護のエキスパートを育成することで、施設全体の質の向上を図り、入居者一人一人の気持ちに寄り添ったケアを心がけています。
地域ごとに特色ある生活環境やトータル介護サービスのご提供
ソラストのグループホームは、地域ごとに特色があります。もしも複数の施設で迷う際は、施設見学をして、入居者ご本人やご家族に合った施設を選ぶのがおすすめです。足を踏み入れたときの雰囲気、職員の印象など、時にはインスピレーションも大切かもしれません。
また、ソラストでは、ショートステイや小規模多機能型居宅介護なども運営しています。グループホーム単体ではなく、同じ敷地内や近隣にある事業所と連携したトータルケアをご提供する柔軟な対応で、質の高い介護サービスを継続してご提供可能です。
ICTを活用したサービス向上の推進
紙ベースの業務やりとりが多い介護業界ですが、ソラストでは、ICT(情報通信技術)を積極的に導入して業務のデジタル化を推進・模索しています。ICT導入により、例えば、介護記録の最適な管理運用、体温や寝返りなどのライフログ感知した見守りシステム、病院や各事業所に散らばっているデータの利活用などが可能になります。
こうした業務のデジタル化は職員の事務作業の負担軽減にもなり、その結果、従来のアナログ業務にかかっていた手間が削減され、介護サービスの向上につながります。
適切な施設入所はスタッフと家族の信頼関係から!
人それぞれ、施設に入るタイミングも「最良の高齢者施設」も異なります。これまでの生活や価値観、ご予算に合った費用、他の入居者やスタッフとの関係性など、さまざまな要因を踏まえて検討する必要があります。
ソラストでは、ご本人やご家族の想いを尊重しながら、安心して笑顔で過ごせる環境を整えるために、信頼関係を築きながら一人一人に寄り添ったサポートをご提供していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修担当をご紹介します。
関東介護ブロック/ディレクター
小林 文晴
現在、ソラストのディレクターとして神奈川県と埼玉県の在宅サービスを中心に34事業所の運営管理を担当しています。入社前は、老人保健施設の支援相談員や通所介護の生活相談員、管理者、エリアマネージャーとして幅広い経験を積んできました。
仕事の中で大切にしているのは、相手の話をしっかり聞き、その想いを受け止めた上で自分の考えも伝えること。ソラストでは、利用者様ファーストでケアを実践するスタッフが多く、新しい挑戦ができる環境も魅力です。質の高い介護サービスの提供に尽力しています。
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